相続対策

ほとんどの方は関係ない、とお考えのことでしょう。しかし、事実は違います。
現在、相続税がかかる方は、亡くなる方全体の4.2%です。しかし、その中でも大富豪よりも普通のお金持ち、例えば都心に戸建住宅を持っていて相続税の対象になるような方のほうが、相続を巡ってもめごとになる場合が多いものです。なぜなら、大金持ちは不動産以外に金融資産を多く持っていますので、財産の切り分けがしやすくなっています。しかし、戸建住宅が相続財産の大半を占めるような方の場合は換金がしにくいためトラブルになりがちです。

そのうえ、2015年より税制改正で相続税が強化されました。日本政府の財政状態からいって、今後も課税の強化は免れないでしょう。今回の相続増税で、相続税がかかる人がこれまでの2倍になるとされています。そうなると、亡くなる方の約1割が相続税対象となるわけで、特に都会に不動産を持っている方に限定すれば3割4割が相続税対象となっていったとしても全く不思議はありません。

それでは、不動産を持っている方の相続対策は、どのように考えていったらいいのでしょうか。

争いの予防

自分が相続税の対象者になると思ったら、まず家族間で骨肉の争いが発生しないように予防していくのが思いやりというものでしょう。主な資産が都心の土地200坪であったとしたら、早急に資産を分割して、相続しやすくなるように工夫するべきでしょう。

子供たちに共有してもらいたいと考えるのはやめましょう。「共有は争いの母」といわれ、もめごとの原因になります。共有の不動産は共有者全員の合意がなければ売却できません。今の建物が老朽化して建替えが必要になった場合も同様です。兄弟それぞれ財政状態が異なりますから、子どもの教育で金のかかる長男は最小限の費用での建物の延命を望み、一流企業のサラリーマンと結婚してダブルインカムの長女は新築を希望し、フリーターの二男は一切お金を出す余裕がない、などということになります。

やはり、不動産は小ぶりの物件複数に買い替えるか、分筆できるなら分筆する、等して相続しやすいように事前に準備しておくべきでしょう。ひとことで分筆するといっても、測量して合意文書を締結して、司法書士に頼んで登記をして、と3か月くらいかかります。

また、誰に何を相続させるか、自分の遺志を明確にしておくことが争いの予防につながります。
遺言をすることで、私財を国・自治体や公益法人に寄付することができます。
もし隠し子がいる場合、きちんと認知して相続人に含めることが必要かもしれません。
遺言の執行を確実にするために、執行者を指定することができます。お墓を守る人を決めて、その人に必要な資産を相続するよう指定することもできます。親不孝な息子があれば、遺言すれば相続を減らすこともできます。

納税資金の確保

節税対策を実行したとしても、相続税がゼロにならない方は、納税資金を確保しておく必要があります。
そのためには事前に生命保険をかけておくのが有効な対策です。生命保険の中には、掛金の大部分が損金計上でき所得税の節税になるような商品もあります。そのような商品を活用して、死亡保険金で納税資金を確保できるようにするのです。

資産が不動産しかない場合は、物納するか売却して納税することを考えます。
その場合は、税務署に対して相応の手続をする必要があります。

相続税の節税対策

不動産は、相続時の分割困難などのデメリットもありますが、逆に現預金資産が多い方にとっては相続税を節税する有効なツールとなります。

現預金は、相続税の計算では満額で評価されてしますので、高額の相続税を課される原因となります。
ところが、現預金を使って不動産を買うとどうなるでしょうか。
1億円の現預金がある場合のことをみてみましょう。

更地に変更

時価1億円→ 相続税評価 7000〜8000万円

土地に変更して他人に賃貸(貸宅地)

時価1億円→ 相続税評価 × 借地権

土地に変更して自分でアパートを建てる(貸家建付地)

時価1億円→ 相続税評価 × 借地権 × 借家権(30%)

建物に変更

時価1億円→ 相続前評価 7000万円

建物に変更して他人に賃貸(貸家)

時価1億円→ 相続税評価×(1−借家権)=4900万円